訪問看護ステーションかふう

【訪問看護ステーションかふう・看多機みくも村】作業療法士によるリハビリのご紹介

作業療法士による「作業」リハビリ

当法人には作業療法士(英略語でOTといわれます)がおり、施設内でリハビリを行ったり利用者さんの自宅に訪問してリハビリを提供しております。

作業療法士という国家資格者によるリハビリの特徴についての一例をご紹介します。

作業療法士は日常生活に関わる全ての諸活動「作業」に関するリハビリを行う専門家です。

(日本作業療法士協会より抜粋)

人は日常生活では気づかない間に様々な特徴的な作業をしているものです。例えば着替えの時ですと、ボタンの付け外しの作業、袖を通す作業、靴下を履く作業などは着替えの時にしか発生しません。食事をするときはお箸を使用しますが、お箸の動作もそれ固有の作業動作といえます。

これらの作業は当たり前のように行っておりますが、特徴的な動作であるため疾患や障害等で動作が難しくなってしまう場合も多く、その動作を取り戻すためには骨や筋、神経など理論的なアプローチが重要になります。

当法人施設には作業療法士がおり、ご自宅や施設にいらっしゃる利用者さんに対し日常作業に関わるリハビリや住環境改善を提供しています。

事例のご紹介

当ステーションで訪問している患者さんの家族から、患者さんが食事時に食べこぼしが多くなったという相談からはじまった事例をご紹介します。

疾患もあり手指動作が苦手な患者さんで、細かい手指動作を無理やり行うために余計な部分に力が入ってしまうような利用者さんです。余計な部分に力が入るため、右肘が肩くらいまで上がるような食事姿勢になっていました。そのため箸を使用するときには、極端に言うと食べ物を上からつまむような形になり、さらに箸先がクロスし本来の箸の使い方とは異なる動作を行っていました。

作業療法士による考察と指導

1.肘が上がることで手首の筋肉や関節の動きに制限がでてしまいうまく力が入らなくなったり、動きが想定したようにならなくなるため箸先がクロスしているのかもしれない
2.箸が縦気味になり視界的には箸の全体が見にくくなる。箸先がクロスしていることに気づきにくくなる(高齢で視野が霞んでくるとさらに見にくくなる)
3.箸が縦気味になるとつかんだものを落としやすくなる(横であれば食べ物が箸に乗っかるため落ちにくい)
4.掌の筋肉である虫様筋の動きがスムーズでなく、手指の運動が分離し指の小さな動きが苦手となり肩の方に力が入る

まずは正しい動きを練習してみます。

 

肘を下げて箸が横になるような状態にして箸の開閉をしてもらうと箸先のクロスがなくなってきました。どうやらこれまではクロスしていること自体に気づけていなかったようですが、しっかりと箸先を見て捉えることができるようなったためクロスせずに自然に開閉ができるようになったようです。

(個人情報を特定できるものが入らないよう一部白塗りしております。見づらくて申し訳ありません)

練習後は上手につかめ食べこぼしが減るようでした。家族は喜んでいましたが、本人的にはまだ違和感があるようです。今後は新しい姿勢への慣れとリハビリが必要かもしれませせん。

お箸を正しい持ち方に強制することが目的ではなく、自由にお箸を使いこなすことで利用者さんのQOLを向上させていくことが大事だと思います。今後は利用者さんに合った作業のリハビリを検討していくことになるでしょう。

自宅に訪問することの意義

訪問看護ステーションかふうの作業療法士は自宅に訪問して各種リハビリを行います。利用者さんが苦労をして病院等に行かなくて良いのは当然のメリットなのですが、別のメリットがあります。それは、住み慣れた自宅で行うことで、より現実に即したサービスを提供できるということです。

例えばこれが病院で準備された部屋で箸をつかむ訓練を行うということになった場合、テーブルやいすの高さ、箸の長さや太さは普段のものと異なりますし、部屋の明るさも変わる、本人の気持ちも通常とは大きく異なります。病院で再現できたことが自宅では再現出来なかったり、逆に病院で再現できなかったことが自宅では再現できたという経験をしたことがある方は多いと思いますが、このようなことは起こりがちです。

訪問して自宅にお伺いするのであれば、病院とは違って自宅でリアルな再現がきます。実際の自宅の環境(テーブル、いす、箸、明るさなどが普段と同じ)なので、本人の感覚や運動動作、気持ちなどは平常通りになりやすく再現性が高くなる傾向があります。さらには、住環境の改善(手すりを置くとか、物の場所を変えるとか)などの提案も行うことができます。

当ステーションではご自宅でのQOLを上げることを大事にしているため、このような日常動作の専門家である作業療法士の先生が訪問し患者さんのリハビリや運動の指導、住環境改善の提案などを行っています。

 

 

 

 

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