総合内科

新しい肺炎球菌ワクチン「バクニュバンス」が発売されました

肺炎球菌ワクチンとは

肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌という細菌が原因で起こる感染症を予防するためのワクチンです。肺炎球菌は気道の分泌物や唾液を介して感染し、肺炎や中耳炎、副鼻腔炎、敗血症などの重い合併症を引き起こすことがあり、高齢者などの免疫力が低下している人、慢性疾患を抱えている人、喫煙者などは特に重症化しやすい病気です。よって特に高齢者や基礎疾患を抱える方は予防接種で肺炎球菌感染症のリスクを減らすことが重要となります。松阪市では高齢者肺炎球菌の予防接種ということで補助が出るようになっており当院でも多くの方にご利用いただいております。
松阪市高齢者肺炎球菌の予防接種について

補助は下記のように65歳以上の5の倍数の年齢が概ねの対象となっているようです。

(松阪市ホームページより抜粋)

肺炎球菌ワクチンの種類

肺炎球菌ワクチンにはこれまで2つがありましたが、今年の4月にもう1つが追加され3つになりましたました。これまでにあったのは「ニューモバックスNP」「プレベナー13」という2種類で、最近追加されたのは「バクニュバンス」といいます。肺炎球菌という細菌には93種類の血清型があります。そのうちの何種類に効果があるという意味で●価のワクチンという表現をしています。

■ニューモバックスNP(23価ワクチン)
23種類の肺炎球菌血清型に対する免疫を誘導するワクチンです。肺炎球菌感染症の主要な血清型に対して効果があります。
ただし、バクニュバンスと比較すると、血清型22Fと33Fに対する免疫効果が劣ることが報告されています。

■プレベナー13(13価ワクチン)
13種類の肺炎球菌血清型に対する免疫を誘導するワクチンです。一般的な肺炎球菌感染症の主要な血清型に対して効果があります。
バクニュバンスやニューモバックスNPに比べると、効果の範囲は狭いですが、肺炎球菌感染症の予防に有効です。

■バクニュバンス(15価ワクチン)
15種類の肺炎球菌血清型に対する免疫を誘導するワクチンです。
バクニュバンスは、プレベナー13に比べて、血清型22Fと33Fに対して特に効果があります。
また、バクニュバンスは、ニューモバックスNPに含まれていない血清型22F、33F、および3型にも強い免疫を作ります。
安全性はニューモバックスNPとほぼ同等であり、効果も同等かそれ以上と考えられています。

接種方法

肺炎球菌ワクチンの接種方法については、65歳以上の成人に関しては、バクニュバンスとニューモバックスの連続接種が推奨されています。ニューモバックス未接種の方は、まずバクニュバンスを接種し、1〜4年後にニューモバックスを接種することがおすすめです。ニューモバックス接種済みの方は、1年以上の間を空けてバクニュバンスの接種を検討し、その後5年後に再度ニューモバックスを接種することが推奨されています。

肺炎球菌ワクチンの接種によって、肺炎球菌感染症にかかりにくくなるだけでなく、感染しても重症化しにくくなる効果があります。ただし、肺炎球菌には多くの血清型が存在するため、完全な予防を保証するものではありません。

具体的な接種方法やスケジュールについては、医師に相談してください。

肺炎球菌ワクチンの接種において、米国CDCでは65歳以上の全ての成人や未接種または接種歴が不明な19〜64歳の慢性疾患のある成人に対して、バクニュバンスとニューモバックスの連続接種を推奨しています。これは、バクニュバンスの接種後に血清型に対する免疫が誘導され、その後にニューモバックスを接種することで、両ワクチンに共通する血清型に対する免疫がより強く誘導される効果(ブースター効果)が期待されるからです。

日本感染症学会も、65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方をまとめています。ニューモバックス未接種の方には、バクニュバンスを接種し、1〜4年後にニューモバックスを接種することが推奨されています。また、ニューモバックス接種済みの方には、1年以上の間を空けてバクニュバンスの接種を検討し、その後5年後に再度ニューモバックスを接種することが推奨されています。

PPSV23:ニューモバックス   PCV13:プレベナー13

(日本感染症学会より抜粋)

 

肺炎球菌ワクチンは、感染症の予防に効果があり、特にリスクの高い人々にとって重要です。予防接種を受けることで、肺炎球菌感染症から身を守り、健康な生活を送ることができます。定期的な健康チェックや医師の指示に従い、自身と周囲の人々の健康を守るためにも、肺炎球菌ワクチンの接種を検討しましょう。

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