訪問看護ステーションかふう

【訪問看護ステーションかふう】訪問看護のサービスを利用者ご家族のインタビューを交えてご紹介

当法人には訪問看護ステーションかふうが併設しております。訪問看護ステーションかふうを利用した患者さんのご家族がヨガのインストラクターをされており、併設介護施設の看護小規模多機能型居宅介護事業所みくも村に月に一度ヨガのレクリエイションに来ていただいております。実はヨガのレクリエイションに来ていただくようになったきっかけは訪問看護ステーションかふうでの訪問看護でした。

この度、このヨガインストラクターの阿部先生に訪問看護ステーションかふうについてのインタビューをさせていただきましたが、訪問看護ステーションというサービスや制度を理解するのに具体的で分かりやすい内容でしたので訪問看護ステーションのサービスの啓発記事として掲載させていただきます。

 

訪問看護とは、医師の指示のもと看護師が患者さんの自宅に訪問し医療的処置や生活の介助を行うサービスです。また、理学療法士や作業療法士などのセラピストによる訪問リハビリも訪問看護ステーションから提供しています。

ヨガインストラクターの阿部先生の祖母を患者さんとして、訪問看護ステーションかふうから自宅に訪問させていただいたことを聞き取りました。訪問させていただいた期間は1か月程度です。いわゆる終末期における自宅でのお看取りでご利用いただきました。近年は終末期におけるご自宅でのお看取りで訪問看護のサービスを利用される方が増えておりますのでそのような方にサービスについて少しでも理解の助けになればと思います。

 

インタビュイー ヨガインストラクター阿部先生のご紹介

阿部先生は松阪市内で少人数制のヨガスタジオをやられています。

公式WEBサイト

公式インスタグラム

「地域の介護施設の役に立つなら」ということで、阿部先生のご厚意で毎月ボランティアで介護施設(みくも村)にヨガレクリエイションをしに来ていただいております。
このヨガは利用者さんにも好評で、楽しみにしている利用者さんも多く、回を重ねるごとに意欲が高まっています。
ヨガで体を動かくすのはリフレッシュによいですし、さらに聞いたところによるとヨガは医療的にもエビデンスのあるリハビリテーションのようですので、利用者さんの健康に役立てばよいなと思っております。

 

訪問看護ステーションに関するインタビュー

 

自宅で終末期を迎えることを決めた理由にはどのようなものがありますか?

私の祖母は98歳で大腿骨骨折で病院に入院をしました。約4か月の入院中に食事の量が徐々に減り病院からは残りが短いかもしれないという話を受けました。祖母は自宅に帰りたがっていましたし、家族も会いたがっていました。もしかしたら家なら食事が食べられるようになるかもしれないという希望も持ちつつ、自宅で療養することにしました。
当時病院はコロナで対面での面会はできずリモート面会でした。病院内ではどうなっているかが分からなくて心配で、リアルに会いたいと言いう気持ちがとても強かったのを覚えています。

訪問看護ステーションを利用したきっかけについて教えてください

病院のソーシャルワーカー、ケアマネジャーさんからの提案もあり、その際に在宅医療(訪問診療)を行っているクリニックの紹介を受けました。そのクリニックが宇野胃腸内科脳神経内科で、宇野胃腸内科脳神経内科に併設している訪問看護ステーションかふうの訪問看護も受けることにしました。宇野胃腸内科脳神経内科の院長先生は父親の同級生でもありました。

初めての経験ですので不安もあったと思います。どういうところに不安を持っていましたか?また不安は払しょくされましたか?

当初は退院後はリハビリをしましょうということだったのですが、退院直後はおむつかぶれがあったので、すぐにリハビリはできませんでした。まずはかぶれを治しましょうということになりました。祖母の看護や介護をするのは母親になるのですが、車いすの祖母の看護・介護をするのは初めての経験でした。まずはどうしたらよいのか、かぶれはどうするのかなど、多くの重たい課題が一気に降りかかってきました。そこでどうすれば良いのかを訪問看護ステーションの方を中心に丁寧に教えてくれました。優先順位をつけて祖母の負担が少なくなるよう各所を調整し、祖母のことや家族のことを考慮し判断してくれました。
例えば、食事は取れないのに薬はたくさん飲んでいたので、先生は薬を減らすことを考えてくれました。お年寄りにとって薬を飲みこむのはとても大変なことですので負担が減りました。

また、このようなケースで使用できる制度やお金についても詳しく教えてもらえたのはありがたかったです。そもそも医療保険や介護保険を使って訪問看護や介護のサービスを手軽に受けられることを知りませんでした。さらに保険制度を使うことで自宅にスロープや手すりもつけてもらえました。体のことだけでなく住環境や制度のことまでサポートしていただけるとは思いませんでした。

どのような方に訪問看護ステーションのサービスはお勧めできると思いますか?

病院を好まない人、家族もそばにいてほしい人、家族が見てあげたい人だと思います。
いずれにせよ本人の意思が一番大事と思いますが、そもそも家で終末期を迎えるという選択肢について知らないことが多いと思いますので、このような選択肢があることを知ってもらいたいですね。
訪問看護というと看護師さんが自宅に来てくれてと家族の負担が多いように思えますが、おむつ交換や清拭など医療的処置以外の生活介助までまめに来てもらえるのでこんなに手厚いものはないなと思いました。むしろ家族の負担は大きく減りました。
また、とても大事に祖母のことを扱ってくました。病院ですと中が見えませんが、訪問看護ステーションから来られる看護師さんは皆、祖母の尊厳が保たれるような看護をしてくれ、家族でこれを見られたのは良かったですし家族の精神は癒されました。安心というのでしょうか。
さらに、最期を迎えるにあたっての家族の方の心のケアもしっかりしてくれました。治らないとか治るとかいうのではなく、少しずつ最期について諭してくれたような感じでした。そして絶妙なタイミングで終末期の手引きのようなもの渡されて、最期の覚悟が出来ました。人が最期を迎える準備ができた、押しつけがましくなく素晴らしいタイミングで背中を押してくれた、そのように感じました。
このタイミングで亡くなる祖母も見送る家族の方も自然と準備ができました。
訪問看護ステーションの看護師さんは経験豊富なようで人が最期を迎えるのを先読しているように見え、そのタイミングに合わせ計画的に色々とやらせてくれました。孫やひ孫が面会する機会もしっかりと準備できました。
最終的にはおむつかぶれもきれいになって痛みもなく亡くなっていきました。結果的には家族の後悔なく祖母の希望通り家で看取れ、天国へ見送ることができました。病院だとこのように見送るのはむずかしかったのかもしれません。訪問看護は光でした。

ありがたかったことは他にもあります。例えば、プロならではの提言というのは役に立ちました。小さなことではありますが患者の祖母本人がいやだということに対して、家族の言うことはきかないことが多いのですが、外部の専門家から言われると本人は納得することが多いのです。相談する相手がいるというのは大きく、家族内での甘えでいやがったりすることも、第三者に客観的にみてもらえるのでベストな行動ができると思います。
また、看護師さんが家に来てもらっている間、家族は別のことができるというのは地味にありがたかったです。短い時間でも買い物に出かけたり、外に出てリラックスする時間ができるのは家族の息抜きに必要なことと思いました。

終末期でなくても訪問看護ステーションのサービスは受けられるということですので、病院に行くのが嫌な方にも向いていると思います。自宅に看護師やリハビリの方に来てもらえ医療的処置をしてもらえ治療に繋がるのならありがたいと思いました。車に乗れない、重たくて介助が難しい、何かあったときに病院に連れていけない、老々介護の人など、こういう時代には来てもらえるので安心だと思います。

今では看護小規模多機能型居宅介護事業所みくも村のためにヨガを行っていただけておりおます。とてもありがたく、利用者さんも、スタッフも喜んでいます。
今後訪問看護ステーションかふうや併設施設に期待することがあれば教えてください。

医療の施設、介護の施設などありますが、その施設において医療だけとか介護だけとかではなく楽しみを提供していってほしいですね。そして、利用者さん患者さんがモチベーションを高く持ち能動的に回復していこうとするような施設になってほしいと思っています。
治療にとどまらず色々な方法、食事、レク、ヨガなど幅広く色々としてもらえたらQOLが上がっていくし、これが回復を助けると思います。私はヨガに携わっていますが、医療的なエビデンスがあるケースもあると言われています。人の治癒力の可能性を探っていきたいと思います。骨もおれるし時間もかかりますが、医療だけでなく他の可能性も探っていきたいという気持ちがあります。

その他お伝えしたいことがあれば教えてください。

訪問看護ステーションの看護師さんは、1周忌の時も仏壇に手を合わせに来てくれました。また、祖母が亡くなった後に母が精神的に疲れていたことも気にしてお声がけしてくれたり、残った家族の方のケアもしっかりしてくれました。すごいなと思いました。本当に誇り高い素晴らしい仕事だと思います。

似たような境遇で悩まれている人がいたらとりあえず相談だけでもしてみれば良いと思いました。介護保険や医療保険でできるので金額面も安心で使わないと損ではないですが、せっかく良いものがあるのにもったいないと思います。

このようなサービスや制度をそもそも知らない人が多いので、必要なひとに知ってもらいたい、啓発活動をしっかりしたいと思いました。
もちろん市などに相談をすれば教えてはくれるのですが、やはり心理的なハードルが高いです。また、何となく介護系のサービスがあることは知っているのですが、より具体的なところまで知れる機会がないなと思いました。例えば私には、「介護=老人ホームに入る」ようなイメージがありますが、訪問してくれるサービスもあるということは知りませんでしたから。
自宅に訪問に来てもらうと考えると何となく敷居が高い気がするのですが、利用してみて全くそんなこともありませんでしたし、知ってもらえるといいなと思いました。
これによって救われる患者さんや家族が増えると思う。先にも言いましたが、尊厳が守られ、家族も後悔が少なくて済むのではないかと思います。

そういえば、祖母が亡くなった直後、体を拭いてお化粧をする時間がもらえました。すごく良い経験が出来ました。

今回改めてこのようなお話しできておばあちゃんのことを思い出せて良かったなと思いました。

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