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脳神経内科

日本最大級の医師専門ポータルサイト m3.com の取材を受けました

m3.comはエムスリー社が運営する国内最大級の医師専用のポータルサイトです。日本の医師の9割以上が登録しており、医師の中では定番のポータルサイトとして認知されています。

先日、当法人の取り組みが国内でも珍しく独自で興味深いということでm3.comからの取材依頼があり、今週記事がアップされました。m3.comは医師でないと登録および記事の閲覧が出来ないため、参考までに要約したものを記させていただきます。
当法人やクリニック、看護小規模多機能型居宅介護事業所みくも村や訪問看護ステーションかふうなどの施設がどのようなコンセプトや機能を持って連携しているのかが垣間見える内容となっておりますのでご覧いただけたらと思います。

インタビュー内容抜粋

 ――医療法人いいとも会について教えてください。
2023年現在、医療法人いいとも会はクリニックである宇野胃腸内科・脳神経内科の他に、看護小規模多機能型居宅介護事業所と有料老人ホーム、デイサービス、訪問介護ステーション、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所の6つの施設があります。
最近では脳神経内科分野を強化すべく認知症外来の充実を行いました。公認心理師兼作業療法士による外来サポートにより、医師が外来で診察した後に、認知症の方の脳トレーニングや評価をしてもらっています。認知症には薬物療法だけでなく認知行動療法も受けてもらい、宿題が欲しい方には家で実践する課題も与えています。認知症の家族のお悩み相談も公認心理士が対応します。やはり、認知症の場合、ご家族のほうが悩みを抱えていますからね。(認知症外来は下記リンク先より)

 ――神経難病に特化した在宅医療をしようと考えたきっかけを教えてください。

昔、ある神経難病の患者さんのご家族が「もうおばあちゃんを連れてくるのが大変だから、今日で通院は最後にしようと思う」とおっしゃったのです。ずっと診てきた患者さんだったので、その言葉に胸が痛みました。医者たるもの、患者さんは最期まで診たいという思いがあり、神経難病に特化した在宅医療をしたいと思いました。

患者さんの話を聞くと、皆さんすごく苦労して通っていました。しかし、神経難病の方の場合は受け入れるところが少なくて、本来受けるべきサービスが受けられていないのが現状。在宅医療をするなら地元でという思いもありましたし、松阪市も脳神経内科の在宅医療をしているところは当院しかないので、地元で始めて良かったと感じています。

 

――最も医療依存度の高まる終末期について教えてください。

神経難病の場合、在宅医療=終末期ではありませんが、やはり終末期の方もいらっしゃいます。多くの患者さんは自宅での看取りを希望しますが、ご家族は仕事のことや見ていない時に急変するケースを考えると勇気がいるみたいです。他にも、患者さんがご飯を食べられないのに、自分だけ食べていることに罪悪感を抱くご家族もいらっしゃいますね。

患者さんとご家族、いろいろな希望をかなえられるように当法人では、さまざまな選択肢を用意しています。例えば、亡くなる直前まで介護施設の「みくも村」に居てもらって、最期は自宅で看取ることも可能です。そのご家族に合ったサポート方法を選んでもらい、負担を少しでも軽減したいです。

在宅医療しか選択肢がない場合、自宅以外の選択肢は「最終的には病院へ入院」しかなくなります。私たちは、訪問看護ステーションかふう、看護小規模多機能型居宅介護事業所みくも村、有料老人ホーム布袋というさまざまなサポート方法を用意し、「最期まで診る覚悟」を持って、神経難病の患者さんと向き合っています。(それぞれの施設は下記リンク先参照)

 

――神経難病を患う患者さんとどのように向き合っているのでしょうか。

ALSやパーキンソン病は、完治しないから「難病」と呼ばれています。患者さん自身も治らないと理解しているので、日々申し訳ない気持ちになります。患者さんからも「でも薬はないんですよね?」とよく言われますしね……。

しかし、治らない病気だからと言って、こちらまで暗い顔をして診察していたら、皆さん受診したくなくなるのではないでしょうか。だから、処方箋は元気を与えることだと思っています。悩みを聞いて共感して、一緒に年を取っていくことが大切です。当院の理学療法士が私のこの考えに共感してくれていて、「リハビリテーションはおしゃべりテーションとコミュニケーション」だと言い、体をほぐすだけでなく、患者さんに触れてたくさん話すことで元気になってもらえると言っていました。

 

――なぜ看護小規模多機能型居宅介護事業所を開所しようと思ったのでしょうか。

神経難病の治療に携わる上で必要だと感じたからです。看護小規模多機能型居宅介護事業所みくも村があれば、患者さんのご家族の負担が1つでも減るかなと考えました。

一般的なデイサービスなら発熱がある場合は行けませんが、「みくも村」なら逆に連れてきて数日ショートステイ(短期間の宿泊滞在)でいてもらうのも可能ですし、もちろん私が出向いて診察することもできます。他にも、ご自宅へ迎えに行ってクリニックで診察を受けた後、「みくも村」へ連れて行くなど、患者さんのご希望に合わせた対応が可能です。神経難病の治療に携わる上で必要だったので「みくも村」をつくったのですが、運用を始めてから新たな便利な活用方法に気づくこともたくさんありました。

 

――医療と介護、看護が連携して可能になっていることは。

患者さんの異変の早期発見ですね。いつもと少しでも違うところがあれば、誰かがすぐ気づけます。また、スタッフとは距離が近いので、患者さんが医師には言わないことも話す場合があります。患者さんの本音を私がスタッフから聞いて、アプローチのかけ方を変えることもできます。少し悲しいのですが、医師にはなかなか本音を言ってくれない患者さんもいるのが現実です。

患者さんが滞在している併設施設を訪問した際に、患者さんが食事をする姿や私服で新聞を読んでいる姿を見ると、患者さんらしさがより伝わってきます。病気は病院でたくさん診せてもらいますが、患者さん自身のことはあまり知らないので、施設に顔を出した時だけでもその人の人柄を知れるのがうれしいです。

 

――医療法人いいとも会はどのようなグループを目指していますか。

内科全般を診る地域のかかりつけ医としての機能を果たす軸と、私が加わったことでできた神経難病と認知症領域の地域医療を担う軸、双方を両立させていきたいです。最終的には私たちが実践してきた方法をどこかのクリニックがモデルにしてくれるような存在になりたいと考えています。興味がある医師がいらっしゃれば、実践してきた内容をぜひお伝えしたいですね。

 

 

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